読書の途中経過

一覧に戻る

横溝正史 八つ墓村



これ以上は核心のネタバレになので、後は本を読んでください。

出来事

月日 出来事
遠い昔 八人の落武者、村人の襲撃で全滅。三千両を持っていたが消えた。
三千両を探していた村人が次々と怪死。
半年後、田治見 庄左衛門、発狂し、七人+自分自身の八人を殺害。
その後、八人の落ち武者を丁寧に埋葬し、八つの墓を作った→八つ墓村の名前の期限。
二十数年前 四月下旬 田治見 要蔵、暴走し、三十二人を殺害し失踪。
昭和二十×年 五月二十五日 辰弥、ラジオで諏訪に呼ばれる。ある人物が探しているらしい。
諏訪とは別に辰弥のことを調べている(田舎風の)人がいるらしい。
六月十日 辰弥、脅迫の手紙が届く。
辰弥、丑松に会うが、丑松、口から血を流して倒れる。
丑松、死亡。喘息の薬に毒が混じっていたため。
六月二十五日 辰弥、美也子に付き添われ、八つ墓村に旅立つ。
六月二十六日 久弥、薬を飲んで死亡(なぜか病死扱い)
金田一、登場。
七月三日 辰弥、美也子を誘って、八つ墓明神を見に行く。
梅幸尼、久弥の大事なことを知っているので、後で寺に一人で来るように伝える。
洪禅、初七日の食事を食べて死亡。
辰弥、小梅と小竹に呼ばれお茶会。
夜中、辰弥が寝ているところを誰かが覗きこむ。涙ながす?
小梅、小竹、謎のお参り。
七月四日
濃茶の尼、梅幸尼の寺から台所を荒らして色々盗む。
辰弥、梅幸尼に会いに行くが途中で濃茶の尼に会い因縁を付けられ、村人からも怪しまれるが、美也子に助けられる。
寺に行くが、梅幸尼は殺されていて、紙が落ちていた。

辰弥、抜け孔の中を調査。滝から外に出たところで典子に会う。
妙蓮さんの尼寺の電気が消えるのを見る(普段はつけっぱなし)。
辰弥、典子と別れてから慎太郎を見かける。ツルハシを持っていた。救いようのないほど、陰惨にして、凶暴な印象を受ける。
妙蓮、手ぬぐいで首を絞められ殺される。
久野、逃走。謎の紙は久野が書いた。
七月五日 辰弥、また抜け孔に入り込む。抜け孔の中で典子に会う。
別の誰かが抜け孔で辰弥たちを見て逃げる。
辰弥、典子、逃げ出した人物を追う途中で鎧武者に会う。
鎧武者はミイラだった。久弥に似ている。
抜け孔の中で春代と合流。
ミイラの場所に「猿の腰掛」と書かれている。
ミイラは要蔵と判明。
七月十五日 辰弥、また抜け孔に入り込む。ミイラのところにある石棺を開けると日本刀と三枚の大判を発見。

辰弥、小梅と小竹に誘われお茶会。
小梅、小竹、抜け穴に潜り込むが、鎧武者が動き出し、小梅を攫う。
小竹、辰弥に助けを求め、辰弥、春代に小竹を任せ、抜け穴に潜り込む。抜け穴の中で典子に会う。
春代、古地図を持って辰弥達に合流。
辰弥、春代、典子、天狗の鼻に辿り着き、木霊を聞く。英泉を見かける。
辰弥、春代、典子、小梅捜索を諦める。
七月十六日 辰弥、警察に抜け穴の存在を告白。警察と一緒に抜け穴を調査。
鬼火の淵まで辿り着き、小梅の遺体を発見。
英泉、警察に捕まる。
七月十七日 小梅の葬儀。
七月十八日
警察へ妙な投書が届く。犯人は辰弥なので早く捕まえろと書かれている。
金田一、辰弥に会いにやってくる。洞窟(抜け穴)調査に誘われる。

辰弥、母の恋文を見つける。
七月十八日 洞窟調査は村人にボイコットされたため、金田一、磯川、辰弥の3人で行う。
洞窟内で久野の遺体が見つかる(死後、十日くらい経っている)
その後のある日 役場の張り紙に辰弥が犯人だから捕まえろという張り紙が貼られているらしい。
辰弥、経師屋に屏風を調べさせたところ、母の恋文がさらに出て来る。
さらに調べを続けると亀井陽一の若かりし頃の写真が出て来る。写真は辰弥そっくりであった。

辰弥がショックで眠れないところ、村人達が辰弥邸を襲撃。辰弥、洞窟に逃げる。

登場人物

人物 コメント
金田一 耕助 辰弥の恩人。探偵。
荘吉のの古い友人。三十五、六歳くらい。小柄で、もじゃもじゃ頭をした、どこから見ても風采のあがらぬ人物。よれよれのセルに袴をはいている。
磯川警部 県の刑事課でも古狸といわれる老練の人物。久弥殺害の捜査。
諏訪弁護士 辰弥をラジオで呼び出した弁護士。
実は、八つ墓村出身。

田治見家

人物 コメント
田治見 庄左衛門 落ち武者襲撃の発起人。発狂し、七人+自分自身の八人を殺害。
田治見 要蔵 粗暴残虐の振る舞いが多かった。妾に逃げられた恨みで三十二人を殺害し失踪。
春代によると、失踪後は抜け孔に隠れていて、しばらくは小梅、小竹が食事を運んでいた。その後、小梅、小竹が毒をもり死亡。 その後、屍蝋になる。
鶴子 要蔵の妾。 要蔵が周囲に暴力を振るうため仕方なく妾になった。 妊娠し、男の子を産んだが、要蔵の暴力が激しくなり姫路の親戚のところに逃げる。
辰弥 鶴子の子。父親は要蔵、陽一のどちらか。要蔵の暴力より背中と太ももにやけど。
寺田 辰弥 主人公。謎の地図を母より引き継ぐ。
本当の性は田治見
辰弥の母 辰弥が七歳のときに亡くなる。過去に恐ろしい体験をしたため、夜中に大泣きすることがあった。
=鶴子
寺田 虎造 辰弥の養父。
井川 丑松 辰弥の祖父(母方)。
田治見 久弥 辰弥の腹違いの兄。
田治見 春代 辰弥の腹違いの姉。
屏風のところで変な紙片を拾う。
小梅、小竹 辰弥を八つ墓村に呼び戻す、依頼主。
非常に似ている。一卵性の双生児。猿が二匹座っている感じ
お島 田治見の女中。
平吉 山仕事担当の奉公人。屏風の絵が抜き出したと主張。

里村家

人物 コメント
里村 修二 要蔵の弟。
里村 慎太郎 修二の息子。幼いときに村を出てほとんど帰郷しないため、赤の他人同然。田治見家としては財産を渡したくない。
軍人あがり。色の白い大男で、頭を丸刈りにして、かなりくたびれたセルを着ている。無精ひげがもじゃもじゃ。
典子によると慎太郎は毎晩、外出するらしい。
里村 典子 慎太郎の妹。要蔵の騒ぎのため早産したが無事に育つ。 辰弥に惚れる。

野村家

人物 コメント
野村 荘吉 美也子の義兄。五十歳前後。おっとりとした態度で、鷹揚な口の利き方。
森 美也子 辰弥、諏訪を 丑松殺害の容疑から救う。八つ墓村に住むようになってから四年。
西屋の御寮人。

八つ墓村の村人

人物 コメント
亀井 陽一 小学校の訓導。鶴子と大人の関係。事件後、どこかに転勤。
吉蔵 辰弥が村に来て最初にあった村人。
新居 新しい疎開医者。丑松に薬を処方。
久野 旧来の医者。丑松に毒を持った?辰弥の親戚。
探偵小説好き。
濃茶の尼(妙蓮) 五十歳くらい。異様な風体をした人物。
梅幸尼 慶勝院の尼。六十歳を超えるくらいで上品な柔和。
長英が深く信頼、村のひとたちからも尊敬されている。
長英 麻呂尾寺の住職。八十歳。
英泉 長英の弟子。戦後に入山。
洪禅殺害で辰弥を疑い、次の狙いは自分では、と疑う。
丑松が殺害されたとき、旅行に出てて村にいなかった。
洪禅 蓮光寺の和尚。

用語

用語 コメント
分限者 金持ち。財産家。
田治見家 八つ墓村の分限者。東屋と呼ばれる。
野村家 八つ墓村の分限者。西屋と呼ばれる。
訓導 小学校の教諭の旧称。
御寮人 娘または若い妻。
辰弥の母が残した紙切れ 地図みたいで地名っぽく「竜の顎」、「狐の穴」とか書かれている。
屏風に落ちてた変な紙片 古い日本紙に筆で地図みたいなものが書いてあって、「猿の腰掛」だの「天狗の鼻」だのと、変な地名みたいなものが書き入れてある。
所化 師の教えを受けている、修行中の僧。弟子。また広く、寺に勤める役僧。

襲撃された落人の若大将

土民の手でズタズタに斬られ、血みどろになって息を引きとる間際まで、七生までこの村に祟ってみせると叫びつづけた

辰弥への脅迫状

八つ墓村へかえってきてはならぬ。おまえがかえってきても、ろくなことは起こらぬぞ。八つ墓明神はお怒りじゃ。おまえが村へかえってきたら、おお、血! 血! 血だ!二十六年まえの大惨事がふたたび繰りかえされ八つ墓村は血の海と化すであろう。

濃茶の尼、歓迎の言葉

「来るな、来るな、かえれ、かえれ。八つ墓明神はお怒りじゃ。おまえが来ると村はまた血でけがれるぞ。八つ墓明神は八つのいけにえを求めてござる。おのれ、おのれ、来るなというに……おまえはおまえの爺がなぜ死んだか知っているのか。あれが一番目のいけにえじゃぞ。それから二つ、三つ、四つ、五つ……いまに八人の死人が出るのじゃ。おのれ、おのれ、おのれ……」

梅幸尼の遺体のところに落ちていた紙

双児杉 お梅様の杉
お竹様の杉
博 労 井川丑松
片岡吉蔵
分限者 東屋、田治見久弥
西屋、野村荘吉
坊 主 麻呂尾寺の長英
蓮光寺の洪禅
濃茶の尼、妙蓮
姥ケ市の尼、梅幸

お竹様の杉、井川丑松、田治見久弥、蓮光寺の洪禅、姥ケ市の尼、梅幸の名前の上には、それぞれ、赤インキで棒がひいてあった

金田一、濃茶の尼が久弥たちより先に梅幸の寺に入ったのを知って

「しかしあとになって考えると、濃茶の尼の盗癖と、彼女が私たちよりひとあしさきに、尼寺へ盗みに入ったということがこの事件全体に大きな意味をもっているのだった。」

金田一、濃茶の尼殺害について

「つまり、犯人がヘマをやったからですよ。ええ、そう。梅幸尼の事件で、犯人ははじめてヘマをやらかしたんです。」

久弥の持つ古地図に書かれている歌

みほとけの宝の山に入るひとは竜のあぎとの恐しさ知れ

ぬば玉の闇よりくらき百八つの狐の穴に踏みぞ迷うな

掬うなよ鬼火の淵の鬼清水身をやく渇によし狂うとも

春代の持つ古地図に書かれている歌

麻の葉の乱れ乱れていくみちの一里塚こそ猿の腰掛

あまかける天狗の鼻に憩いなば木霊の辻に耳傾けよ

六道の鬼と仏のわかれ路よ木霊の辻を心してゆけ


ページのトップへ戻る