横溝正史 悪魔が来りて笛を吹く
章
これ以上は核心のネタバレになので、後は本を読んでください。
出来事
年 | 月日 | 出来事 |
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昭和十九年 | 八月二十七日 | 小夜子、青酸加里を飲んで自殺。妊娠していた。 |
昭和二十年 | ||
五月 | 新宮家、同居開始 | |
昭和二十一年 | ||
秋 | 三島東太郎、同居開始 | |
暮れ | 玉虫公丸、同居開始 | |
昭和二十二年 | ||
一月十四日 | 椿英輔、箱根に行くと行って旅立つ~十七日。
(三春園に宿泊)
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一月十五日 | 天銀堂事件 | |
二月 | 「悪魔が来りて笛を吹く」を発表 | |
二月二十日 | 英輔、天銀堂事件の取り調べ。これより前に自殺を決意している。 | |
三月一日 | 椿英輔失踪(ふらっと出掛けたまま戻らない) | |
三月五日 | 椿英輔失踪(新聞発表) | |
四月十四日 | 信州の霧ケ峰の林で椿英輔らしき人物の遺体発見 | |
九月二十八日 | 美禰子が金田一と会う | |
九月二十九日 | 椿邸にて砂占い。 砂占いの最中に砂の上に火焔太鼓の紋章が浮かび上がる。 第一の殺人。
種、秋子、信乃が英輔らしい人物を見る。
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九月三十日 | 玉虫が遺体で発見。発見場所は密室になっていた。 砂の上に火焔太鼓が版を押したように血で描かれていた。 防空壕でフルートケースが発見される。中に黄金製の耳飾りが入っており、天銀堂事件の盗品だった。
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十月一日 | 淡路の妙海尼がおたまを訪ねる。 | |
十月二日 | 金田一、天銀堂事件時の英輔のアリバイを調べるため西に移動。 | |
十月三日 | 淡路島で恐ろしい事件。
→おこま、殺される。
金田一、玉虫元別荘にて「悪魔ここに誕生す」の文字を発見する。
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十月四日 | 「悪魔ここに誕生す」の文字が消されている。
金田一、出川、淡路島に移動。
利彦、殺される。
死体の場所に血まみれの風神が置いてある。
菊江、東劇へ。
信乃、電報で呼び出しがあり、成城へ。→偽の呼び出し。
目賀、電話で呼び出しがあり、横浜へ。→偽の呼び出し。
美禰子、一彦、就職口を頼みに外出。
華子、金を工面するため外出。
東太郎、初七日の買い出しで外出。
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十月六日 | 温室で秋子の指輪発見。
信乃、目賀を呼び出したのは利彦と判明。
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数日後 | 出川刑事の報告書が届く 豊三郎、この二、三日消息が消える。 |
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十月十日 | 出川刑事、磯川警部から手紙が届く。三島東太郎がニセモノと判明。 豊三郎、遺体で発見。死後二日経過している。顔がめちゃめちゃ。 秋子、何かを指出し悪魔と呼び怯える。その後、信乃とお種を連れて鎌倉に移動。
全員で鎌倉に移動。秋子、目賀の調合した薬を飲んで死亡。
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登場人物
警察、探偵、その他
人物 | コメント |
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金田一耕助 | 探偵。 |
等々力警部 | 美禰子に金田一を紹介。 |
出川刑事 | 金田一の西の調査に同行した若い刑事。 |
久保銀造 | 岡山県の農村で果樹園をやっている。耕助にのパトロン。 |
磯川警部 | 岡山県の警察本部に勤務。金田一の馴染み。 |
飯尾豊三郎 | 天銀堂事件の容疑者の一人。本命とされていた。英輔に似ている。 |
椿家
人物 | コメント |
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椿英輔 | 失踪。43歳。
遺体で発見。自殺と判断される。美禰子が遺体を確認し、本人と認める。
天銀堂事件の犯人のモンタージュ写真に似ている。誰かが警察に密告。
失踪する直前、美禰子に「いまこの屋敷にいるたれとも結婚してはならぬ」と伝える。
治雄に三島東太郎の名前を与え、家に招き入れる。
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椿秋子 | 英輔の妻、40歳。
英輔の自殺を信じない。英輔の復讐を恐れる。
宝石狂だが、指輪が無くなったとき騒いでいなかった。
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椿美禰子 | 英輔の娘、19歳。
英輔の死体を引き取りに行く。
金田一に砂占いの参加を依頼。
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三島東太郎 | 英輔の旧友の息子。23、4歳。英輔が面倒をみている。
英輔の死体を引き取りに行く。現地でテキパキ作業。
右手の中指と薬指が欠けている。
指は戦争で失う。
実は、植辰の息子、治雄と同一人物。小夜子の恋人となったが、自殺を知って激怒。
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信乃 | 婆あや。62、3歳。家の切りもり。 |
種 | 女中。23、4歳。 |
目賀重亮 | 医学博士。秋子の主治医。52、3歳。砂占いをやる。
玉虫に説得され、英輔の死後、秋子と内祝言。
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新宮家
人物 | コメント |
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新宮利彦 | 秋子の兄。43歳。
英輔の死体を引き取りに行く。
左の肩に火焔太鼓のかたちのアザがある。皮膚が充血してくると現れる。
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新宮華子 | 利彦の妻。40歳前後。 |
新宮一彦 | 利彦の息子。21歳。
英輔の死体を引き取りに行く。
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玉虫家
人物 | コメント |
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玉虫公丸 | 秋子、利彦の伯父。70歳前後。
椿家に来たのは利彦を監督するため。
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菊江 | 妾。22、3歳。
左手の小指が欠けている。
左手の小指は戦争にいくいい人にあげる。
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関西
人物 | コメント |
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植辰 | 植木屋の親方。玉虫の別荘に出入り。金回りが良くなったため、株を植松に譲り、遊んで暮らす。 |
おたま | 植辰の妾。 |
治雄 | 植辰の息子。 |
おこま | 植辰の娘。毎年夏、玉虫の別荘で手伝いをしていたが、妊娠したため手伝いを辞める。
→淡路の妙海尼となる。
金田一が会いに行くが、合う前に殺される。
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源やん | おこまの夫。植木屋の職人を辞めて、極道となる。 |
お小夜 | おこまの娘。父親は不明。
昭和十九年八月二十七日に自殺。父親は利彦
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植松 | 植辰の後を継ぐ。 |
用語
用語 | コメント |
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悪魔が来りて笛を吹く | 作曲:椿英輔、フルート演奏:椿英輔 |
天銀堂事件 | 犠牲者十三人、死者十人の銀行強盗。被害者を騙して青酸加里を飲ませた。 |
砂占い | コックリさんみたいな占い。 |
火焔太鼓 | 英輔の日記に悪魔の紋章と書かれている。 |
アプレ | 戦後派。特に第二次世界大戦後、それまでの道徳や物の考え方にとらわれずに行動した若い人々。 |
尺、寸、分 | 尺 = 約30.3センチ、1寸 = 約3.03センチ、1分 = 約0.303センチ。 |
半玉 | 花柳界における年少芸妓(芸者の見習い) |
椿英輔の遺書
美禰子よ。 父を責めないでくれ。父はこれ以上の屈辱、不名誉に耐えていくことは出来ないのだ。由緒ある椿の家名も、これが暴露されると、泥沼のなかへ落ちてしまう。ああ、悪魔が来りて笛を吹く。父はとてもその日まで生きていることは出来ない。 美禰子よ、父を許せ。椿英輔→美禰子 天銀堂事件取り調べ後の言葉
美禰子や、このうちには悪魔が棲んでいる。そいつがわたしを密告したのだページのトップへ戻る