横溝正史 女王蜂
章
これ以上は核心のネタバレになので、後は本を読んでください。
出来事
年 | 月日 | 出来事 |
---|---|---|
昭和七年 | ||
七月 | 日下部達哉、速水欣造、月琴島に旅行。二週間ほど滞在 琴絵、達哉と恋に落ち、妊娠する。 |
|
十月二十一日 | 智子の父が亡くなる。
達哉、羊歯を取りに行き崖(鷲の嘴)に落ちて亡くなる(他殺?)。
琴絵が密室で殺した?
|
|
昭和二十六年 | ||
五月十七日 | 金田一、松籟荘に来る。多門連太郎に会う。 | |
五月十八、十九日 | 智子、開かずの間の鍵を奇妙な墓(智子の父の墓)で見つける。 | |
五月二十日 | 智子、怪行者に会う。 | |
五月二十一日 | 智子、開かずの間に入り、血痕らしきものを見る。
龍馬、槙、智子、秀子、金田一で食事。
|
|
五月二十二日 | 月琴島から松籟荘に移動。関係者全員が集まる。
智子、黒眼鏡の老人の誘いにのり、連太郎とダンスを踊る。
|
|
五月二十三日 | 鏡面に脅迫文が書かれる。
遊佐、駒井、喧嘩。
午後二時半 秀子、洞窟の上で遊佐と東作が蝙蝠の話をしているのを聞く。
三時十五分 秀子、部屋に帰る。
午後三時-四時 東作、殺される。
遊佐、遺体で発見。連太郎、智子が呼び出された場所で見つける。
|
|
五月二十四日 | 東作、遺体で発見される。
洞窟で毛糸で首を絞められていた。
|
|
五月二十八日 | 金田一、加納に会いに行く。
新日報社で写真の現像と衣笠の調査を依頼。
|
|
五月三十日 | 金田一、大道寺邸に聞きこみにいき、そのまま飲む。
蝙蝠の写真候補の中に東作が写っており、今回の関係者と判明。 連太郎、謎の相手より歌舞伎座の一等座席券が届く。 金田一、飲んだ帰りに何者かに襲われる。写真が消える。
九時、金田一、帰る。
十時、三宅、駒井、帰る。 十一時、連太郎、帰りの駅に着く(十時〜十一時にペンダントを置く)。 真夜中の二時過ぎ、誰かが屋敷をうろつく。 |
|
五月三十一日 | 秀子、金田一の見舞いに訪れる。 智子の座敷の外の沓脱ぎで連太郎のネクタイ・ピンが見付かる。 宇津木、騙され写真のネガを奪われる。 |
|
六月六日 | 歌舞伎座に関係者集合。 カオル、智子に会いたい人がいるから幕間に三階の廊下に来るように伝える。 秀子、金田一にペンダント(琴絵の写真)を見せる
智子、三宅に次の幕間、駒井を引き止めるよう依頼し、褒美に紅い紙でくるんだチョコレートをあげる。
智子、連太郎と会う。三十日の夜、ネクタイピンを置いたのは、十一時より前で深夜ではないことを伝える。
駒井、殺される。現場にはチョコレートの青い包み紙が落ちている。 死因は青酸加里入りチョコレートを食べたため。
慎介、連太郎を連れて歌舞伎座を出るが、カオル、智仁に邪魔され逃げられる。
|
|
六月九日 | 金田一、智仁の家に訪れる。 智仁、智子が孫、変装して会いに行った、匿名で連太郎に指示したことを認める。 遊佐が殺されたとき、死体は立っていたことが判明。殺害時刻は九時十五分以後説がくずれる。 連太郎、龍馬が怪しいと龍馬の道場に調べに行く。 等々力から電話。龍馬の道場で事件が起こったらしい。 龍馬、智子にを父(智詮)殺したのは母(琴絵)と伝える。
龍馬、背中を短刀で刺され殺される。
秀子、智子がいないことを心配 →文彦が龍馬-智子の会話を聞いていたので、道場ではと伝える →秀子、欣造に連絡し自分も移動。欣造は車で移動し、駅で合流。 →現場では、連太郎が智子を抱える。でも殺したのは連太郎ではない、連太郎着いたときには死んでいたと主張。 凶器の短剣は部屋の外にあり、殺害時は中から鍵が閉められていたが、部屋を調べたところ抜け穴があった。
|
|
六月十日 | 智子、金田一に月琴島の父の殺害現場の調査を依頼。関係者一同、月琴島へ・・・・。 |
登場人物
人物 | コメント |
---|---|
大道寺 鉄馬 | 源頼朝の子孫?。
智子が生まれる前に亡くなった。
|
大道寺 琴絵 | 鉄馬の一人娘。
智子が5歳のときに亡くなった。なにかに心苦しめられ、よく泣いていた。
|
大道寺 智子 | 琴絵の一人娘。
智仁の孫。
|
槙 | 智子の祖母。 |
神尾 秀子 | 琴絵、智子の家庭教師、家政婦、保母 |
文彦 | 智子の血が繋がっていない弟。十七歳。
連太郎、遊佐の会話を聞いて怒り。
↑二人が裏の顔を持つことを知って。
黒眼鏡の老人が変装と見破る。
東作の遺体を発見。
遊佐の殺害現場に智子、連太郎を呼び出した手紙を作成。ただし二人に渡していない、文面も微妙に異なる。
|
金田一 耕助 | 名探偵。 |
大道寺 欣造
速水 欣造
|
智子の義理の父、文彦の父。
覆面の依頼人に頼まれ、琴絵と籍を入れる。
|
加納 辰五郎 | 日本でも有数の民事弁護士。金田一に智子の東京行きに付き添うように依頼。 |
覆面の依頼人 | 金田一の依頼元。 |
日下部 達哉(偽名)
衣笠 智詮
|
琴絵と恋に落ち、子供を授かるが、崖に落ちて亡くなる。
智仁の息子。
|
蔦代 | 大道寺家より女中として欣造に仕えるが欣造が気に入り、妾とする。文彦の母。文彦が出来てからも籍を入れず、女中のままでいる。 |
多門連太郎 | 金田一と浴場で会う。
本名は日比野謙太郎?
前科者。遊佐とは旧知の仲。
去年の秋、仲間をピストルで打ち、刑務所行き。5月くらいに出てきた。
|
九十九龍馬 怪行者 |
大道寺氏の使い。政界や財界の上層部で、ふしぎな勢力を持つ。琴絵に惚れていた。
背中を短剣で刺され死亡。
|
遊佐三郎 |
智子の婿候補。連太郎とは旧知の仲。
殺される。殺害現場にピンポン・バットが落ちている。
|
黒眼鏡の老人
九鬼能成
衣笠宮智仁王殿下
|
変装している?
遊佐が殺さる前後に周辺にいるが事件後は、辰五郎の別荘に移動。
智子の祖父、変装してホテルに会いに行っていた。匿名で連太郎に智子をアタックするように指示していた。
|
衣笠宮 | ホテルの元持ち主。連太郎と関係がある? |
三宅 嘉文 | 智子の婿候補。デブ。 |
駒井 泰次郎 | 智子の婿候補。ノッポ。 |
伊波 良平 | 蔦代の兄。月琴島の出身。 |
姫野 東作 | ホテルの使用人。遊佐が殺された夜から行方不明。
遺体で発見される。
写真に写っていた一座の座頭、嵐三朝。
|
宇津木慎介 | 金田一の後輩。新日報社の記者。 |
カオル | レッド・アウルの人。 |
用語
用語 | コメント |
---|---|
月琴 | 中国・日本の伝統楽器。こんな形↓ |
蝙蝠の写真 | 達哉が撮ったのだが、蝙蝠について書かれた手紙は酷くふざけた感じだった。 恐ろしい謎を解く鍵。 蝙蝠は写っていない。月琴を抱いた琴絵、編み物をしている神尾秀子、猫を抱いた祖母の槙、
後は役者(嵐三朝)の写真で合計7枚。
|
嵐三朝一座 | 毎年お祭りの時に島に来てた。 |
デスペレート | 絶望的な。自暴自棄の。 |
欣造に届いた警告(覆面の依頼人にも届く)
警告。月琴島からあの娘をよびよせることをやめよ。
あの娘が東京へ来たらロクなことは起こらぬであろう。
あの娘の母の場合を思うてみよ。
十九年まえの惨劇を回想せよ。
あれは果たして過失であったか。
何人かによって殺されたのではなかったか。
あの娘の母には良人を剋する相があった。
あの娘またしかり。
あの娘のまえには多くの男の血が流されるであろう。
彼女は女王蜂である。
慕いよる男どもをかたっぱしから死にいたらしめる運命にある。
再び警告。
月琴島からあの娘をよびよせることをやめよ。
多門連太郎に届いた手紙
多門連太郎よ。君はこの手紙を受け取りしだい、伊豆修善寺へおもむいて、ホテル松籟荘に投宿しなければならぬ。
そして、そこに数日滞在するならば、世にも美しき佳人の、南方より来るにめぐりあうであろう。その佳人こそは君が未来の妻である。
但し、心せよ、君には多くの競争者のあることを。
多門連太郎よ。
君にしてまこと男子ならば、堂々とそれらの競争者とたたかい、かれらをやぶり、絶世の佳人を獲得せよ。
多門連太郎よ。
強かれ、退く勿れ、進撃せよ。但し君は今後絶対に、日比野謙太郎であってはならぬ。
鏡面の文字
智子よ、島へかえれ。
おまえが東京ヘ出て来てもろくなことはない。
おまえの身辺には血の匂いがする。
おまえのおふくろがそうであったように。
智子よ、
島へかえれ。
そして二度とふたたびそこを出てはならぬ。
智子に届いた手紙
とも子よ。今夜九時はん、屋上の時計台ヘ来れ。
しからばなんじは、なンじの身の上に関して、重大なる事実を知ることを得ン。タだシ、他言、絶対無用ノこと。
遊佐のポケットにあった手紙
今夜正九時、時計室にて会いたし。もし君がこれに応じなければ、きっと後悔することがあるだろう。。たもん連太郎
ページのトップへ戻る